

株式会社マスター・コンサルティング 代表取締役広瀬 武不動産業界の常識を覆す、
株式会社マスターズ・コンサルティング 広瀬武社長の美しい志事に迫る。

地味なことからコツコツと
信頼を積み上げる
私の志を漢字一字で表すなら「美」です。
この仕事は段取り次第なところがあり、段取りがうまくいかないと何事もうまくいきません。
常に仕事をする上で、「美しい仕事」を自分なりに意識しています。
華やかさというよりも、地味なところでコツコツと信頼を積み上げていくことが大事だと考えています。
私にとって「美」の色はロイヤルブルーと真っ赤なイメージが混在します。
仕事の大枠はロイヤルブルー、いわゆる暗めの紺色ですね。ロイヤルブルーは、古代ローマ帝政の時代から高貴な地位の象徴といわれており、イギリスではキングズブルーとも呼ばれます。お客さまに対しての思いは真っ赤、赤は情熱的でアクティブさを感じる色ですね。
温度感でいえば、ロイヤルブルーを感じている時は少し冷たく冷静に段取りをしている自分がいて、お客さまと接しているときは赤で人肌くらいの温かさを感じているので全く別物です。
美の文字を抽象的な形に例えるなら三角錐です。
昔からピラミットのような形が真っ暗な暗闇の中でくるくると回っている、そんなイメージというか残像があります。
それが仕事の段取りの「美」に繋がっています。

この世界に存在意義が成り立つ会社を
あってもなくてもいい会社とサービスなら無くてもいいと思っています。
せっかくなら、存在意義が成り立つ会社を経営しようと創業しました。
私は20代で親を亡くしています。
当時、妹2人がまだ高校生で、一番助けてくれる味方と思っていた親戚たちが目の色を変えてお金を奪いにきました。役所に助けを求めても、誰も助けてくれませんでした。
きょうだい3人で「本当にどうしよう……」と路頭に迷った時期もあり、世界はなんて冷たいんだろうと嘆きました。
その一方で、近所の方が葬式の手伝いや妹たちの面倒を見てくれて本当に助かったこともあります。
妹たちのバイト先の方や友達のお母さんたちなど、地域の方々に支えてもらいなんとかやってこれました。
一番下の妹が成人したときに、両親がいない中でもどうにかお祝いをしてあげたいと考えました。
当時、妹がアルバイトをしていた料亭の女将さんと常連のお客さんたちが「成人式に必要だろう」
とわざわざ着物をプレゼントしてくださったんです。成人式の日は、女将さんが妹の着付けもしてくれました。
そのときに「世界は美しいなあ」と、わんわんと泣いたのを覚えています。
若いときに両親を亡くし、多くの人の良いところと悪いところに触れました。
不動産業という仕事柄、人の良い面も悪い面も多く見えてきます。
そういうところを全部すくい上げて、仕事や自分の生活の糧にしていきたい、そんなふうに考えて事業を経営しています。

売買価格を問わない定額制を
取り入れたワケ
もともと、大学時代は国家公務員になろうと勉強していましたが、宅地建物取引士の資格を取得していたこともあり不動産業に就職を決めました。
先ほどもお話した通り、せっかく仕事をするならあってもなくてもいい仕事より、あった方がいい仕事がいいだろうとインフラなどさまざまな業界を検討。最後は、「人が住むところがないのはまずいだろう」と不動産業界に絞った経緯があります。
実際に不動産業界に従事してみると、自分の年齢に関係なく契約が大きければ大きいほど歩合制で収入も増えます。
20代の頃は成績が良く、本社役員の直属部隊に抜擢され、億単位の物件も取引するようになりました。
そんな中で、「やっていることは同じなのに、なぜこんなにも成果が違うのだろう?」と疑問に思ったのを覚えています。
不動産業は、宅建業法で定められた仲介手数料の上限で正規仲介手数料の算出式が「売買価格×3%+6万円+消費税」という、お客さま側からしたら一見分かりづらいところがあります。
がんじがらめになっている業界の常識をぶっ壊してやりたい、と考えるようになりました。
そこで、弁護士の着手金や土地家屋調査士の土地の測量費用と比べて、サービス提供の為にかかるコストと事業存続の為に最低限必要な利益を考えると、1件あたり33万円(税込)という定額制のコースもいいのではないだろうか?と事業を構想。
そんなときに、先に独立をしていた会社の先輩と話す機会があり、「実はこういうビジネスを考えています」と打ち明けたところ、「じゃあ、一緒にやってみよう」と言われて事業をスタートしました。
最初はすぐにお客さまが来てくれるとは考えてもいませんでしたが、おかげさまでご好評を得て「これはニーズがある」と確信しましたね。

常態化した社会問題にも切り込む
起業をするとき、本来不動産業に従事する人は頭の賢さはもちろん、倫理的に正しい人でなければいけないと思いました。
というのも、宅地建物取引士の資格を持って働く人は、お客さまのお金や個人情報を預かり人生を左右する売買に関わりますが、あまり良いイメージは持たれていないと思います。
むしろ、「不動産屋」と聞いて悪いイメージの方が先に浮かぶのではないでしょうか。
不動産業界では当たり前になっている「囲い込み」は、売主から売却の依頼を受けた不動産会社が、意図的に他の不動産会社に物件を紹介しない行為です。
たとえば売主が1億円で売りたい物件を、売主に対しては「1億円では売れません。8,000万円で買い取ってくれる業者ならいますよ」と伝え、一方で他の不動産会社に対しては「既に買い手が見つかっているから紹介出来ない」と伝えて、1億円で買ってくれる買主との取引機会を売主に内緒で握り潰してしまうのです。
即ち、自社だけで買主を見つけるために他の不動産会社からの問い合わせに対して「嘘の情報」を伝えて紹介できないようにします。
というのも、日本では売主・買主どちらからも3%の手数料を取れる”両手仲介”ができるので、囲い込みをすることで不動産会社は2倍の手数料を得られるのです。その一方で、売主・買主にはデメリットしか生じません。
私はこのような社会的な問題を解決し、不動産業のイメージを良くしていきたいと考えています。

やってみたから、わかることがある
おかげさまで定額制の事業はご好評を得ており、大手しかいなかった港区エリアのシェアも取り始めている状態。つまり、1億円の物件が1億円で売れるようになり、今までの成約単価よりもグッと上がるようになりました。
ただし、事業をスタートした当初は、定額39万円(サンキュー)でお金があまりない方向けにサービスを提供していきたいと考えていましたが、蓋を開けて見ると実際はそうなりませんでした。
問い合わせいただいたのは、正規仲介手数料3%は勿論のこと、億単位の物件をキャッシュで払えるような方たちばかりで、本来、私が考えていた「求められている人たち」から遠い存在です。
これでいいのだろうかと迷うこともありましたが、よく考えてみれば定額制サービスに問い合わせするのは「不動産屋に裏切られた人・満足できなかった人」。
私が想像する以上に「不動産屋」に不信感を持っていた人が多かったのだと気付きました。
というのも、定額制サービスに問い合わせするお客さまは初めての不動産取引の方はほぼいません。みなさん、2回3回とある程度経験のある方たちばかりです。
その結果、取引の中でどういうことが起こるかというと、担当者が付いて「この金額でやってくれたらありがたいよね」という共通認識が生まれ、三方よしの取引ができるようになりました。
それが、今の会社経営に繋がっていると思います。

本音を引き出すための仕事術
弊社では、お客さまとの取引が全て完了した後にアンケートの記入をお願いしています。
「実際に弊社サービスを使ってみていかがでしたか?」という最後の質問に対して、長文で回答していただけることも多々ありました。
それを読んでいるときはうれしい気持ちになりますし、やりがいを感じますね。
https://www.masters-c.jp/blog/category/review/
これは露骨な話になりますが……定額制でやっていても「33万円(税込)では申し訳ない。満足料を払いたい」と言ってくださる方もいて純粋にうれしいです。
不動産業界では「1円でも高く売りたい人」と「1円でも安く買いたい人」に挟まれる仕事。
人は最初から本音を打ち明ける生き物ではないので、繰り返し話している間に矛盾が生じて行くので、妥協できるラインを見つけるのに苦労しつつ、そこがやりがいでもあります。
そこで本音を話してもらうために、事前の準備が欠かせません。
あらゆるパターンを用意して、相手が言葉にはしない「これなんだ!」を引き出せるように努力しています。
昔、お世話になっている先輩からは「お客さまの乗っている車をよく見ておけ」とよく言われたのを覚えています。たとえば、古い年代物の燃費が悪い車に長年乗っている人は効率よりもこだわり重視など、持ち物や家族構成などをプロファイリングして提案にも反映してきました。
また、弊社は1件33万円(税込)の定額制でやっているので、正規仲介手数料3%の会社のような広告費はかけられません。
そこで、私自身もWebマーケティングを学び、広告費のコストを抑えつつ反響を得られるようになりました。ホームページも大枠は外注しつつ、文章は自分で考えて、第三者の専門家に確認してもらっています。
Webマーケティングの他にも、アートやビジネスなどさまざまなジャンルの本を読み、結果として事業にも役立つ情報も得られるよう意識しています。

業界のビジネスモデルをシフト
不動産業界は欲望があふれる業界なので、私自身は常に「節制」を心がけるようにしてきました。
現行の米100ドル紙幣に肖像が描かれているアメリカ合衆国建国の父の一人ベンジャミン・フランクリーをご存知でしょうか。
私は彼が79歳のとき出版した自伝を愛読しており、その中にある「13の徳目リスト」を毎朝唱えています。
節制・沈黙・規律・決断・節約・勤勉・誠実・正義・中庸・清潔・平静・純潔・謙譲で、これらを唱えることで自分を律するようにしてきました。
起業する際も、「大きな会社にしよう」という気持ちはなく「自分が生まれた国のために少しでも貢献しよう」という志でやってきています。
弊社が港区の不動産1件33万円(税込)の定額制を展開して反響を得たことで、大手不動産会社が正規仲介手数料3%のビジネスモデルで成り立たなくなくなり、手数料を変えている企業が出ているのも事実です。
不動産会社が手数料に頼らないサービスで差別化していくビジネスモデルにシフトしていくでしょう。
私自身、ここまで早くこの不動産業界が変わるとは思っていませんでした。
現時点では、宅建業法で定められた仲介手数料の上限が決まっていますが、ゆくゆくはなくなっていくのではないでしょうか。
そうなった場合、弊社では貢献度やサービスに対して顧客との間で自由に手数料を決めていきたいと考えています。


これまでは内見の際に1足100円の紙の使い捨てのスリッパを用意していましたが、取り扱う物件の価格が上がり、億単位の物件を内見いただくのに1足100円の紙のスリッパはどうしても浮くようになりました。
私自身も「変かな?」と思いつつも1足100円の紙のスリッパを履いて頂いていました。
とうとう、人から「2億3億の物件を取り扱うなら、もう少し違うものにした方がいいんじゃない?」と言われたのがきっかけで初めて「やっぱり良いものに変えた方が良いな」と意識するようになりました。
そこからスリッパ探しをスタート。
1足2万円のスリッパを試してみたこともあるのですが、1日に何件も内見するのですぐにボロボロになってしまうんです。
あらゆるスリッパを試してみても、しっくりくるものがなく、とある売主の業者さんの事務所に置いてあるスリッパが目に入りました。
見た目のデザインも然ることながら、履いた瞬間に「これだ!」と直感。
その場の契約も頭に入らなくなるくらいの履き心地で、何回も足踏みをして「このスリッパ、いいですね」と社長に伝えたところ「やっぱり、違いがわかるか?10人中9人は何も感じないが、10人中1人はものすごい感動するんだ」と教えてもらいました。
そして、このスリッパに変えたところ、如実に契約数が変わりました。
物件を内見しに来た方は、いい買い物をしようとテンションが上がっているものです。
そこでこのスリッパを履いていただくことで、無意識のうちにこのスリッパの履き心地に物件の良さを重ねてご契約に結びついているのかもしれません。
Profile
- 株式会社 マスターズ・コンサルティング
- 代表取締役 広瀬 武
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- 1986年
- 東京都立川市 生まれ
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- 2005年
- 法政大学法学部入学、大学2年次に宅建取得
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- 2009年
- 大学卒業後、すみしん不動産株式会社(現:三井住友トラスト不動産株式会社)に新卒入社
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- 2015年
- 縁家不動産(株)の売買仲介事業立ち上げに参画
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- 2017年
- (株)マスターズ・コンサルティング代表取締役に就任