

株式会社スマイルリンク CEO野村 由希女性が表舞台に出て輝き続けられる会社を作りたい。 株式会社スマイルリンク、野村由希社長の輝に迫る。

女性が輝き続けられる会社を
私の志を漢字一字で表すなら「輝」です。
「社会で女性が輝き続けられる会社を作りたい」と会社を作りました。
日本で女性は出産をして「お母さん」になった瞬間から365日24時間、誰に称賛されるわけでもなく働き続ける芯の強さを持っていると思います。
もちろん、会社で働いている、お母さんとして育児をしている、親の介護をしている、奥さんをしている….いろいろな顔が女性にはあるわけで、その顔すべてが輝いているはずです。
そんな女性たちが表舞台に出て輝き続けられる会社を作りたいと考えました。
私にとって輝の色は貝の中にいる真珠のような「生きている色」です。
生きている色は、その人がつけた色がその人の色だと思うのです。
一人ひとりの好きな色、その人が輝いて感じたものや体験・経験で育んだ色、「何色でもない無色透明なものにあなたは何色を付けたい?」と聞いたときに「私は緑をつけたい」と答えたら「それがあなたの正解だね」と言ってあげたいと思っています。
その人その人に見える輝き方があって、ダイヤモンドもあればサファイヤもあるし石ころだって磨けば光る。泥団子だってピカピカに磨けば光るんですよ。

「助けてほしい」の一言に導かれた
最初の起業のきっかけは、会社員時代に「介護事業を任せたい」と言われたのが始まりです。
介護職員の男女比は女性が8割以上といわれており、今の会社の原点にもなっている「女性が輝き活躍できる場所をつくりたい。」という気持ちを持って介護事業を運営してきました。
経営者として介護事業をしているときのことです。息子の同級生のママから「ゆきちゃん、助けてほしい。私の働いている保育園が閉園することになって。だけど今も園児達がいて、このままだと保護者の方も困ってしまう。閉園するにしてもなんとか春まではどうにかしてあげたい。」と相談がありました。私はその熱い想いを受け取って「わかった。なんとか助けよう」と二つ返事をしました。
同級生のママは現在、園長として活躍してくれています。
それがひだまり保育園haguの始まりです。
まずは同級生のママを含む職員3人で認可外保育園をスタートしました。

自分の使命であり、やらない選択はなかった
当時、私の中に迷いはありませんでした。
何かに導かれたというか、これは自分が生きていく中の使命であり、「どうやって自分の命を使うか」「人間界でやり遂げなさい」という意味なのかなと思いました。
やらないという選択はなかったです。
目の前に困っている人がいて「助けてほしい」と言っているのであれば喜んで助ける。
「助けて」は勇気ある美しい言葉だと私は思います。
人は「助けて」と言えずに自分で命を絶ったり、虐待を受けているのに元気なふりをしていたり、たくさんの我慢や悲しい事件が溢れています。
そんな世の中で「助けてほしい」といえるその勇気が「なんて素晴らしいのだろう」と思い、言われた私は「もうやるしかない」という気持ちだけでした。

心と体を包み育んでいく場所
新しく認可外保育園をスタートするとき「ひだまり保育園hagu」と名前を付けました。
ひだまりは太陽の日の光が差すあたたかな場所。
ポカポカとした春に、緑の芝生の上に、いろとりどりの花が咲いていて、そこに大きな木の木陰にあたたかい時間が流れているイメージです。
「あれしなさい」「これしなさい」「時間がない」「早くして」と時間に追われた保育ではなく、子ども一人ひとりの個性を生かした「なんでもOK!」と言えてしまうような空間がいいねとスタッフと話し合いました。
haguはローマ字で「はぐ」。これは挨拶の相手を抱きしめる意味もありますし、「はぐくむ」の心と体を育んでいく意味もあります。
そして皆で考えた「ひだまり保育園hagu」と名前が決まりました

苦労や困難ではなく修行
この仕事にはやりがいしかなく、私の中で苦労という概念はあまりありません。
私はとにかく自分と関わる人、自分と自分以外の人を幸せに豊かにしていきたいと常に考えていますし、これは私の信念です。
すべてにおいて常にチャレンジをする。
モットーは「やるなら楽しく」で毎日充実している自分がいます。
昔から、仕事だろうと子どものPTAの活動だろうと「やる!」と決めた瞬間、とにかく楽しくやる。
自分が楽しみながら働くことで誰かが笑顔になったり、誰かが楽しんでくれたり、誰かのお役に立てたらいいなと思います。
むしろ、困難があるほど本当に成長させてもらえる「修行」だと考えています。
私自身、まだ修行道半ばにいるので、とにかく目の前に起きた出来事は、自分の命の使い方がどうなるかわからなくても、すべてに繋がっていると思ってやっているので、やりがいや達成感があります。
ひだまり保育園haguが認可外保育園としてスタートし、認可として立ち上がったときに「チャレンジしてよかった!」と思いました。

手法ではなく人としての「あり方」を考える
私が会社を作る上で一番大事にしているのはやり方・手法ではなくて「あり方」です。
「人としてどうあるか」という土台作りに力を入れています。
たとえば保育士や調理師、栄養士などの職種は学校で勉強して、社会でそれを生かして仕事をしていますよね。
それと同時に大切なことは尊敬できるリーダーであるかどうかだと思います。
どんなに数字で目標・結果を立てている人であろうとも「尊敬する人誰ですか?」と聞くと必ず「応援してくれた。」「一緒に伴走してくれた。」「ずっと寄り添ってくれた。」と答える人が多いように思います。
ということは、誰から話を聞こうかと考えたときに自分の尊敬している人から話を聞いているし、自分の尊敬していない人に耳を傾けることがなかなかできない。それが人間だと私は考えています。
だから私たちは人として愛される保育士、人として尊敬される保育を目指したい。
私たちは人としてのあり方は何が正しいのか、何が道徳なのか、どういうことが人の役に立つということなのか、感謝はどこからしていくのか……。
ひだまり保育園haguでは人としてのあり方、この土台をとにかく何年も何年もかけて築いていくことを特に徹底させてもらっています。

人と人を結んでいく先に事業がある
今後の展望は人と人を繋いでいく結んでいく、そういう会社でありたいと考えています。
保育園の事業展開に心を燃やしている、というわけではなく人を繋いでいったその先に保育園が増えていくかもしれません。
具体的な次のビジョンとしては、児童発達支援や放課後デイサービスと、こねくと事業を考えています。
もともと私の中には「障がい者」という言葉にすごく違和感がありました。
私が子どもの頃はクラスの中に支援が必要な子がいても、みんなで助け合うのが日常でした。
今は通常級と発達支援級とに分けられています。
もちろん意味があって分けられているのは理解していますが、分ける必要があったのかと疑問を持っている事も事実です。
ひだまり保育園haguでは過去に支援が必要である障がいを持った園児を卒園まで支援しました。
支援が必要な事や時間のかかる事もありますが、ほかの園児たちと同じように保育をしました。
そのうちの一人は半身麻痺で歩くことも食べるのも困難な状態でしたが、みんなで関わってきた結果、卒園式の日には3mも歩けたのを見て、みんなで泣きながら喜んだのが記憶に残っています。お父様からの連絡で分かったことですが、今でも歩けているそうです!
垣根を超えて、インクルーシブでもダイバーシティでもない、フェアにど真ん中で人として生きていくことを支援していく場所にしていきたいと考えています。
また、こねくと事業として、支援が必要な人たちが働く就労支援事業からたくさん仕入れをしてみなさんの工賃を増やしていきたい。就労支援事業で作ったものをカタログギフトにしてたくさんの方に買っていただける仕組み作りを今後は新規事業として挑戦しています。


私の愛テムは京セラ・第二電電(現KDDI)創業者である実業家稲盛和夫さんの著書「京セラフィロソフィ」「稲森和夫の実践 アメーバ経営」です。
経営や働き方に悩んだときに繰り返し読む私の人生のバイブルです。
この本を手にとったきっかけは、スマイルリンクを立ち上げる前。介護事業を任せていただいて雇用側になったときのことです。まさか自分が雇用側になるなんて考えたこともなかったので、Amazonで関連する本を検索した際に稲森さんの本を見つけて購入しました。
それまで経営関連の本は読んだことがなく読み進めると衝撃的で、そこから稲森さんの著書を読むようになりました。
特に、経営論として「両輪の経営」が重要である事、人を大切にすることに感銘を受けました。両輪の経営とは既存事業を深めていく「知の深化」と新規事業を展開する「知の探索」を両輪として企業を経営することです。この経営論は、右手と左手を自在に動かせる「両利き」になぞらえて「両利きの経営」と呼ばれます。
当時、私はYoutubeで日本航空株式会社(JAL)を再生する際のまとめ動画をみていたので、この本を読んでさらに感動しました。JALは2010年に東京地方裁判所に会社更生法の適用を申請し倒産していますよね。その後のJALを企業再生した立役者の1人が稲森さんです。
稲森さんがJALを企業再生に着手したときの「なぜJALを企業再生しなければいけないのか?」という視点が大変興味深く読み進めたのを覚えています。というのも、JALが倒産して全日本空輸株式会社(ANA)が独り立ちしてしまうと業界全体のサービスの質が落ちて日本の航空会社が廃ってしまうと、JALがあってこそ競合企業のANAのサービスが良くなる、JALの経営を良くすることで日本の航空会社の底上げをしていかなければならないと。
自社のことだけではなく、世界から日本、そして日本という国全体のことを考えて会社を経営をされている大きなビジョンに感銘をうけました。
本に触れさせていただく度に、私はまだまだ小さくて自分のために会社経営をやっているなと我に返って思いますが、女性を輝かせることを、社会を通してやっていきたいと考えています。会社を経営するということは日本全体を良くすること、国に貢献するという本からの教えによって経営者としての視座が1つ2つ上がっていく気がしますし、この本に出会って本当に良かったと思います。
Profile
- 株式会社スマイルリンク CEO
- 野村 由希
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- 1997年
- 高校卒業後 大手自動車部品メーカー入社 国内財務・国際財務 担当
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- 2007年
- 80Skip- Groupに入社 本社担当(接骨・鍼灸・介護・ジム 運営)
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- 2012年
- 機能訓練型デイサービスEast-one 立ち上げ
静岡県東部地区(裾野市・長泉町・三島市)に3施設展開
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- 2016年
- 静岡県裾野市 認可外保育園 ひだまり保育園hagu開園
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- 2017年
- 株式会社スマイルリンク設立
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- 2019年
- ひだまり保育園haguが可外保育園から小規模認可保育園へ
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- 2020年
- 静岡県三島市 小規模認可保育園 こころね保育園hagu開園
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- 2022年
- 静岡県沼津市 小規模認可保育園 むすびの保育園hagu開園
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- 2023年
- 人を大切にする経営学会「第13回日本でいちばん大切にしたい会社審査委員会特別賞」を受賞
カゴメ給食レシピコンテストグランプリ受賞
現在に至る
アンダーザライトヨガスクール公認ヨガ講師
日本クラブメンター協会エグゼクティブ講師
多摩大学大学院 経営情報学研究科 博士課程前期
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