株式会社emari 代表取締役大角 梓
「笑」の志に迫る。

あなたにとって「志」とはなんですか?

私にとって志とは、「自分がつくりたい社会」に向かって歩んでいくための支えであり、道しるべのような存在です。
言い換えれば、目標や目的地へと進む際の心の拠り所であり、進むべき方向を示してくれる灯火のようなものだと思います。

Q1 志を漢字一字で表してください

私の志を漢字一字で表すと「笑」です。
笑顔には、人の心を温かくし、前向きな気持ちに変えてくれる力があります。
大切な人や友人、家族と過ごすとき、美味しいものを食べるとき、ほっと安心する瞬間など、日常の中で自然と笑顔がこぼれる場面があります。その笑顔が、人と人をつなぎ、社会全体をやさしく明るくしていくのだと感じています。
現代社会では、不安や忙しさの中で心から笑える瞬間が減っているように思います。
だからこそ、笑顔があふれ、やさしさや楽しさが広がっていく社会をつくりたい。
そして私自身も、人生を通じて笑顔あふれる日々を送りたいと願っています。
また、私にとって「食」は大切な軸です。美味しいものを食べると自然に笑顔が生まれ、人と語らいながら食卓を囲む時間には楽しさや温かさがあります。
その積み重ねこそが、笑顔のあふれる社会を築く一歩になると信じています。
もし「笑」という字を色にたとえるなら、やさしいピンクと太陽のようなオレンジ。
温度にたとえるなら、熱すぎず冷たすぎず、ほんのり心地よい人肌の温かさ。そして重さにたとえるなら、軽すぎず重すぎない、安心感のある重みです。
そんな「笑」の字が示す世界を広げていきたいです。

Q2 事業内容
①WHAT
②WHY
③HOW

① WHAT
会社が存在している意義 / 何を解決するための誰のための事業なのか

私たちの事業は「食卓を通じて人と人をつなぎ、笑顔を生み出す場をつくること」です。
現代社会では、個食や孤食の広がりによって、栄養バランスの乱れや孤独感の増加といった課題が生まれています。私自身も一人で食事をすると、どうしても栄養が偏ったり、心が満たされなかったりした経験をしてきました。だからこそ、家族や仲間と食卓を囲み、会話や笑顔を共有する場を広げていくことが大切だと考えています。

②WHY
その会社、事業はなぜ重要なのか

「食卓」には、人を健康にし、人を笑顔にする大きな力があります。一緒に食事をすることで、普段は選ばない食材や料理に触れることができ、自然と栄養バランスも整っていきます。それ以上に、誰かと同じ食卓を囲むことで心が温まり、孤独感が和らぎます。
特に高齢化やコミュニティの希薄化が進む現代において、人と人がつながる場を取り戻すことはとても重要です。食卓を通じて生まれる「笑顔」と「つながり」は、心身の健康を支える大切な基盤になると信じています。

③HOW
どのように実現するのか

具体的には、管理栄養士としての知識と経験を活かし、栄養指導や商品開発を行う一方で、ヨガインストラクターとして運動習慣の大切さも伝えています。そして、それらを組み合わせた「ヨガ+食」のプログラムを地域の集会所や団地、公民館で実施しています。
さらに、持ち寄りランチ会など「共に食べる」場をつくることで、地域の人々が自然に集い、会話し、笑顔を分かち合える環境を育んでいます。今後は「地域ダイニング」という形で、より多くの場所にこの活動を広げていきたいと考えています。

Q3 志事をする上で感じている社会課題を教えて下さい

私が志事をする上で強く感じている社会課題は、大きく2つあります。
1つ目は 「個食と孤食」 の広がりです。団地や自治会でヨガを行う中で出会う方々は、高齢者が中心で平均年齢は60代後半から80代。最高齢は96歳の方もいらっしゃいます。多くの方が一人暮らしで、日常的に一人で食事を取る状況にあります。そこから孤独感が深まり、最悪の場合は孤独死につながる危険性すらあると感じています。
2つ目は 「障害者のグループホームにおける栄養課題」 です。障害を持つ方は年々増加していますが、その背景には認知機能の低下やコミュニケーション不足、さらには農薬や添加物に囲まれた食環境も影響していると考えています。しかし現状、人員や忙しさの背景から冷凍食品に頼ることも多いと聞いています。栄養バランスはある程度確保されているものの、見た目や味に「楽しさ」や「わくわく感」がなく、心の栄養にはつながっていません。
私は、食には「体をつくる栄養」と「心を満たす喜び」の両方が必要だと考えています。管理栄養士として、ただ栄養を管理するだけでなく、食卓を囲むことで生まれる笑顔やつながりを提供し、心身ともに健康でいられる社会をつくっていきたい。これこそが、私が志事を通じて取り組みたい社会課題です。

Q4 上の社会課題の中で解決に向けて取り組んでいること、取り組んでいきたいことがあれば教えて下さい。また、解決に向けて良い愛dea(アイデア/愛のある発想)があれば教えてください

現在取り組んでいることは、地域の団地や自治会の公会堂を拠点に行っている「ヨガスクール」と「ランチ会」です。
ヨガを通して体を動かし、ランチ会で一緒に食卓を囲む。その中で自然に会話が生まれ、笑顔が広がっていく光景を大切にしています。現在は2か所での開催ですが、今後は少しずつ拠点や回数を増やし、より多くの人が集える場にしていきたいと考えています。
また、過去には障害者グループホームで食事改善にも挑戦しました。
3か月間、毎日献立を立て、栄養計算をし、材料を買って調理まで行った経験があります。ただ、ひとりで継続するには限界があり、一度休止せざるを得ませんでした。
ですがその経験から、「管理栄養士が関わる仕組みづくり」の必要性を強く実感しました。今後は、同じ志を持つ仲間と協力し、利用者さんが心から喜べる食事を提供できるような仕組みを必ず形にしていきたいと思っています。
そして、これからに向けた愛deaとしては、「地域ダイニング」という場を広げていくことです。
食卓には、人と人をつなげる大きな力があります。例えば、子どもから高齢者、障害を持つ方まで、誰もが一緒にご飯を食べられる場をつくる。そこに管理栄養士が関わることで、心と体の健康を支えるだけでなく、「食べる喜び」や「人とつながる安心感」を届けられると思います。
愛情を込めた食卓の時間が広がれば、孤食や孤独の課題を和らげ、笑顔あふれる社会に近づけるのではないでしょうか。これが、私の考える“愛dea”です。

Q5 今後の展望を教えてください

の今後の展望は、「地域に人が集まれる温かな場を広げていくこと」です。
現在は調布市と府中市で、「地域ダイニング」を実践しています。この取り組みをモデルケースとして、多摩地域から全国へと広げていきたいと考えています。
食卓は私の活動の軸ですが、必ずしも食に限らなくてもいいと思っています。
運動や趣味でも構いません。大切なのは「誰かとつながれる場所」が地域にあることです。ふらっと立ち寄って話したり、一緒に過ごしたりする中で、愚痴をこぼしたり笑い合ったりできる。その積み重ねが「また明日も頑張ろう」と思える力になると信じています。
私が描く理想は、全国に「ほっこりできるあたたかな場所」を増やすことです。
イメージとしては、夕暮れ時に家々の窓に明かりが灯り、台所やリビングに光がともる風景。そこには人々の暮らしと笑顔があり、安心して「ただいま」と言える社会が広がっている。そのような温かい場を全国につくっていくことが、私の展望です。

Profile

11980年静岡県生まれ。
幼少期から食べることが好きで、栄養の勉強をしたいと思い、大妻女子大学食物学を専攻。
卒業後、食事の面から健康をサポートしたいと思い、管理栄養士免許を取得。
取得後、病院にて、献立作成、栄養指導を実施。また医療ではなく食事から予防改善を行う栄養療法(NST)に携わってきました。
その後、食品卸会社にて日本中世界中のおいしい食べ物を企画し、販売。
病院で管理栄養士として従事していた際、栄養指導の際に食事の指導と共に運動の大切さも患者様にお伝えしてきましたが、なかなか食事の改善はもとよりプラス運動もやるというところまでの行動変容が難しく、運動が習慣化されないと感じておりました。
多くの方に「健康」であってほしいと考えていく中で、食事制限や管理だけでは健康であるために限界があると感じ、管理栄養士として食だけでなく、運動も一緒に提供していきたいと思うようになりました。私自身、筋力トレーニングやジョギングが好きで日々行っていたのですが、負荷が大きいトレーニングを多くの方にやっていただくのは難しいと感じていたところ、ヨガであれば老若男女、場所を問わず、強度も調整することが出来ると思い、ヨガインストラクターの勉強をし、2018年春にヨガインストラクター(全米ヨガアライアンスRYT200)の資格を取得しました。
現在は、栄養指導や企業向けのレシピ・商品開発、ヨガレッスンを通じて、内側と外側の両面から健康づくりを支えている。また食卓を通じて笑顔とつながりが生まれる場として、「地域ダイニング」の運営にも取り組んでいる。

【取得資格】
・管理栄養士
・全米ヨガアライアンスRYT 200
・シニアヨガ

WEB サイト

書「笑」への想い

一人と人をつなぎ、心をほどき、明日へ進む力を、そっと手渡してくれる一

笑顔は、無理に作るものではなく、安心できる場所や、あたたかな食卓、誰かと気持ちを分かち合う時間の中で自然とこぼれ落ちるもの。
そんな笑顔が生まれる “場”をつくりたいという大角さんのやさしい想いを受け止め、その心に寄り添いながら、筆を走らせました。
一人で抱え込まなくていい場所、ふらっと立ち寄り、「ただいま」と言える場所。
大角さんの「笑」という志が、食卓から、地域へ、社会へと広がり、誰もが安心して生きられる、そんなやさしい循環を生み出していくことを願っています。

書道家 早矢加