

ユーマイミー 代表薄井裕二
「楽」の志に迫る。
あなたにとって「志」とはなんですか?
私は何かを厳密に決めるより、「流れに乗って自然体で生きる」ことを大事にしてきました。
小学生時代の受験勉強の反動もあり、成長するにつれて「もっと自由に生きたい」という想いが強まったのだと思います。
自分らしく、感覚に素直に生きていく。その積み重ねこそが、私にとっての志です。
Q1 志を漢字一字で表してください
私の志の一字は、「楽」です。
楽しく、そして“楽に”生きたい。
仕事もプライベートも含めて、人生そのものを軽やかに楽しみたいという思いがあります。
この「楽」には、「頑張らない」という意味ではなく、自然体で、無理なく、自分らしくあることへの願いが込められています。
決めつけすぎず、こだわりすぎず、その時その時の流れに乗って、気持ちよく過ごしていく。
そんなスタンスが、結果として自分の“志”になっているのだと思います。
「楽」という私の志に色をつけるなら、白をイメージします。
白が持つ「どこにでも馴染める自由さ」は、私の生き方そのものです。
その温度は、暑すぎず冷たすぎず、自然体で心地よいもの。達成感や充実感とともに、「今、自分らしくいられている」と思える温度感です。
質量をイメージすると、できるだけ軽やかでありたい。責任から逃げるのではなく、「縛られすぎず、自分らしくありたい」という自然な願いです。家庭や子育てで困難を経験しても、私は常に「自由でありたい」という想いを大切にしてきました。
だからこそ、「楽」という字には、軽やかで風通しの良い質感が宿っていると感じています。
Q2 事業内容
①WHAT
②WHY
③HOW
① WHAT
会社が存在している意義 / 何を解決するための誰のための事業なのか
私たちの事業は、「誰もが自分らしく、楽しく生きられる社会をつくる」ことを目的としています。
結婚、介護、子育て、健康、文化の違いなど、人生のさまざまなステージで直面する不安や制限に寄り添い、乗り越える手助けをすることが、私たちの存在意義です。
たとえば、孤独や将来への不安を抱える方に向けた結婚相談所、介護を必要とする高齢者やその家族のサポート、夢中になれる場が少ない子どもたちのためのダンス教室。
さらには、異文化と共生するためのハラール和牛の普及や、再生医療を通じた健康支援など、
多様な人々の「困りごと」や「生きづらさ」に対して、“楽しさ”というアプローチで光をあてる事業を展開しています。
「楽しく生きることは、誰もが持つべき当たり前の権利」です。
その価値を届けるために、私の事業は存在しています。
②WHY
その会社、事業はなぜ重要なのか
私たちの事業が大切にしているのは、「すべての人が生きやすい社会を実現すること」です。
介護施設の現場で、障害のある方や認知症の方、そしてそのご家族と日々関わってきた中で、「頼れる場所が足りない」「制度では支えきれない」という現実を数多く見てきました。
行政の支援だけではまだ届ききれていない人たちがたくさんいます。
登校拒否の子どもたち、障害があることで偏見を感じている若者たち。
私たちの事業は、そうした“見落とされがちな声”に耳を傾け、誰もが自然体で安心して過ごせる環境をつくることを目指しています。
「障害者だからこう」「高齢者だからこう」といった固定観念ではなく、一人ひとりの個性として受けとめ、自然に寄り添い、支え合う関係性を社会に広げていきたい。
それが、私たちの事業が果たすべき役割であり、存在意義だと考えています。
③HOW
どのように実現するのか
「誰もが生きやすい社会をつくる」という理想を、実際にどう形にしているか。
その手段として、私たちは複数の事業を展開しながら、一人ひとりの人生の多様な場面に寄り添っています。
たとえば婚活支援では、出会いの機会が少ない方のために、結婚相談所の運営や婚活パーティーの開催などを通じて、人生のパートナーと出会う“きっかけづくり”をお手伝いしています。
介護の領域では、家族の介護負担による離職やストレスの課題に対して、専門職が支える施設運営や相談支援、介護環境のコンサルティングを行うことで、心に余裕を持てる暮らしの実現を目指しています。
また、子ども向けのダンス教室も開いており、これは「何が自分に向いているか分からない」子どもたちにとって、ひとつの可能性を見つける“きっかけ”になる場所。習い事を通じて、自分の適性や興味を発見できるような場づくりを意識しています。
さらに最近では、誰もが挑戦できる新しいミスコン「Beyond the One」の運営支援にも関わっています。これは従来の「美しさ」の基準にとらわれない、年齢・体型・経験に関係なく、どんな女性・男性もエントリーできるコンテストです。20代〜60代以上のカテゴリー別、ぽっちゃり体型や既婚女性の部門もあり、「自分らしく輝ける場をひらく」ことが目的です。
実際に、第1回目のビューティーキャンプでは40名ほどが集まり、不安と期待を抱えながらも、自分を表現することに挑戦していました。その様子を見て、「やっぱり挑戦するって素敵なことだな」と実感しました。
こうした活動を通じて、「楽しく挑戦する人が増える社会」「誰もが自分らしく輝ける場所」を少しずつ広げていけたらと思っています。私自身も、こういった取り組みに関わることが本当に楽しいんです。だからこそ、心から「一緒にがんばろう」と伝えられるし、緊張している人がいれば、少しでも気持ちをほぐしてあげたいと思っています。
自分ができる範囲で、誰かの背中をそっと押すような存在であれたらうれしいですね。
Q3 志事をする上で感じている社会課題を教えて下さい
私が日々の志事を通して強く感じているのは、今もなお、社会の中に“見えない線”が存在していることです。
外見や性格、障害の有無、価値観の違いなど、ちょっとした「違い」が理由で、人が人を排除してしまうような空気が、子どもにも大人にも、そして職場にもまだ根強く残っています。
いじめや差別、パワハラ・セクハラといった問題は、かたちを変えながら今も続いています。
完全にゼロにはできないかもしれませんが、それでも、少しずつ偏見や分断のない社会に近づけていくことが、私たち一人ひとりの役割ではないかと感じています。
人は、自分と異なるものに距離をとりたくなるものです。でも、そこで避けるのではなく、「違っていてもいい」と受け止め合える社会こそが、平和への第一歩だと思っています。
特に今の時代、戦争や対立が現実に起きている中で、日本が唯一の被爆国であること、そこにある歴史や命の犠牲の上に今があることを、忘れてはいけないと思っています。
どんな小さなことでもいい。他者を思いやる気持ちや、違いを受け入れる姿勢を持ち続けること。
それが、未来を少しずつでも良い方向へ変えていく“志事”なのだと信じています。
Q4 上の社会課題の中で解決に向けて取り組んでいること、取り組んでいきたいことがあれば教えて下さい。また、解決に向けて良い愛dea(アイデア/愛のある発想)があれば教えてください
私が大切にしているのは、「挑戦する人が当たり前に応援される社会をつくること」です。
そのために今、力を入れて取り組んでいるのが、固定観念にとらわれないチャレンジの場づくりです。
たとえば、私たちがサポートしているミスコン「Beyond the One」では、年齢・体型・未婚・既婚などに関係なく、誰もが自分らしく輝ける機会を設けています。
昔は“美人コンテスト”のようなイメージが強かったですが、今はぽっちゃりさんの部門も、50代以上の方の部門もあって、「その人らしさ」が評価される時代になってきました。私たちはその風潮をさらに後押ししていきたいと思っています。
また、婚活の場でも、「傷つきたくないから動けない」という若者たちが多くいます。ですが、挑戦や失敗の経験を通してこそ、人は学び、強くなれる。だからこそ、「安心して一歩踏み出せる」よう、私たちがそっと背中を押せるような支援をしています。
子どものダンス教室も同じです。「やってみたいけど不安…」という子には、まず体験から。
自分の可能性を見つけられる場が、ひとつでも増えるように願っています。
私の“愛dea(愛のあるアイデア)”は、「失敗を肯定する社会」を広げること。
挑戦する人に対して、「結果よりも、その一歩を尊重する文化」を育てたい。
失敗しても、笑われない。
転んでも、誰かが手を差し伸べてくれる。
そういう社会をつくるには、制度以上に人の温度やまなざしが重要だと思うんです。
だからこそ、私はこれからも、一人ひとりの「小さな挑戦」に寄り添い、一歩目を応援できる“仕組み”と“空気”を育てていきたいと思っています。
Q5 今後の展望を教えてください
これからも、「人生を楽しむお手伝い」ができる志事を、無理なく続けていけたらと思っています。
今現在取り組んでいるすべての事業は、「たまたまのご縁」から自然に始まりました。
長年続けていた介護の仕事を一区切りとし、次女がシングルマザーとして子育てをしている姿を見て、結婚相談所を立ち上げました。
子ども向けダンス教室は、ダンサーさんとのご縁から。ミスコンも、知人の主催をきっかけに関わるようになりました。
どれも、「楽しそう」「ワクワクする」という直感で飛び込んできたもの。
もともとエンタメや表現が大好きで、若い頃はダンスや音楽に夢中になり、よく踊っていた時期もあるんです。
そうした原点が、今の活動の土台になっています。
たとえば、ミスコンに挑戦したことで、「自分のことをちょっと好きになれた」「思い切って一歩踏み出せた」という声をたくさんいただくんですね。そういう経験って、人生の中でとても貴重なもので、その人のこれからに大きな影響を与えることもあると思うんです。
介護も、婚活も、ダンスも、いろんな事業をやっていますけど、どれも根底にあるのは「誰かの背中をそっと押すこと」。
たとえば「ちょっとやってみようかな」と思えるきっかけをつくったり、「自分を表現する楽しさ」を味わえる場を提供したり……そんな風に、小さなチャレンジを応援していきたいです。
ダンス教室で言えば、子どもたちがのびのびと自分を表現して、「楽しい!」って感じる体験をしてくれたら、それが将来どんな形であれきっと生きてくる。
婚活では、自分を知り、他者と向き合いながら「大切な誰かと生きる」喜びを実感してもらえたら嬉しいです。
今後は、これまで関わってきた方々の声を活かしながら、「挑戦と表現の循環」を生み出していけるような仕組みを、もっと広げていけたらと考えています。
自信を持てない人、迷っている人が、「あ、こんな自分でも大丈夫なんだ」って思える瞬間をつくっていきたいんです。
「楽しむこと」に遠慮なんていらない。
そんな空気を、これからも周りに届けていけたら、それが一番の展望です。
Profile
- 事業内容
婚活サロン
介護コンシェルジュ
ダンス
ミスコン
ハラール和牛
トリプルエクソソーム
純国産(再生医療)
遺伝子検査(予防医療)
クルーズ事業
インフラ節約事業
書「楽」への想い
―人生を軽やかに「楽」しみ、自由に表現する―
「誰もが楽しむことに遠慮のいらない社会をつくりたい」
薄井さんの想いを、書『楽』に託しました。
無理をせず、決めつけすぎず、その時々の流れに身を委ねながら、自分らしく日々を味わう。
そんな自然体の生き方こそ、薄井さんが大切にしている“志”です。
介護、婚活、ダンス、ミスコン。
どの事業にも共通しているのは、「誰もが自分を表現し、人生を楽しめるきっかけをつくる」こと。
小さな一歩を応援し、失敗を肯定し、挑戦を祝福する姿勢から、薄井さんの“楽しさ”を味わう心が伝わってきます。
その心が人の心をほどき、社会をやわらかく楽しくつないでいくのだと薄井さんの志に触れて強く感じました。
書道家 早矢加